いつも食べてる缶詰、いつからあるの?
長く取っておけて、おかずに困ったときや、災害時に大活躍する缶詰。
スーパーに行けば大量の缶詰が売られています。
国産の缶詰の多くは、プルトップ式といって、缶切りがいらないタイプのもので、更に便利になっています。
ペットフードなどでもよく見かけますね。
この便利な缶詰ですが、一体いつからあるのか。
それは200年ほど遡った、フランス革命後のフランス軍にゆかりがあります。
皇帝ナポレオンが、軍の携行食のアイディアを広く募集したのです。
そこで、ニコラ・アペールという人物が、現在に通じる「加熱殺菌による食品の長期保存」の方法を発明しました。
瓶や缶に食物を詰め高温加熱し、食品を腐敗させる微生物を死滅させることで、腐ることなく食品を保存しておけるというものでした。この発明でアペールは、1万2000フランの賞金を獲得しました。
この発明によって作られた瓶詰めを、実際にフランス軍で利用したところ大好評で、大いに士気が鼓舞されたそうです。
ブリキの缶については、少し時代が下がって1810年にイギリスで発明されました。早速缶詰として使用され、世界初の缶詰工場も生まれました。
1821年には早くもアメリカに伝わり、1861年からの南北戦争の軍用食として需要が増え、ピーク時には4000万個の缶詰が製造されて、広まっていきました。
日本では、1870年にフランス人の指導によって作られた、イワシの油漬け缶詰が国産初と言われています。それから昭和初期には、日本の海産物や果物などの缶詰が多く生産され、輸出されました。
昭和30年代以降は、国内向けの商品が中心になっています。
ここで面白い話があります。
実は、缶詰は1810年に誕生したのですが、缶切りが発明されたのは、1852年だったのです。
それまでは、缶詰を開けるのは一苦労でした。
ノミとハンマーで穴を開けたり、銃剣の剣を突き刺したり、あるときには銃で打って穴を開けたというのですから、中の食品にたどり着くまでには、大変なことになっていました。
ちなみに、なぜ「缶切り」の発明が40年あまりも忘れられていたのかは、よく分かっていません。
日本では、今はむしろ缶詰よりもレトルト食品の方が主流になりつつありますが、それでもやはり缶詰は大事な保存食品です。
完全に微生物を殺してしまう缶詰や瓶詰めは、理論的には腐ることはないといいます。
ですが、たまに腐ってしまうものがあります。
それは保存状態が良くないものだからです。高温になりすぎて中身が発酵して膨らんだり、サビなどで小さな穴が空いて空気、つまり雑菌が入り込んでしまったのが原因です。
200年あまりに渡って、人々の生活を支えてきた缶詰は、今も、普段の食生活から防災グッズとしてまで、便利に使われてきています。
ただ、いつまでも長持ちするからといって、中身が美味しいままなのは2年から3年程度。
ローリングストックを心がけて、間違っても台所の片隅で爆発させてしまわないように、気をつけてくださいね。